飾らないワタシの地味日記

道端に捨てられた詩を拾います。(20)

小説を読むと心が豊かになるのか

f:id:gravitation0911:20200520192336j:plain


ありふれたハッピーエンドもバッドエンドもわかりやすく終わる物語はすぐに忘れ去られてしまうね。笑顔で終わる最後の一節も、虚空を待つだけの一節も、どちらも結局はおしまいになってしまうことだ。全てはそこで終わり、もう二度と始まらない。彼らも彼女らもそこでもうおしまい。さようなら。だって物語はそこで綺麗に戸棚にしまわれて、鍵をかけられる。残るのは頬で乾いた涙とか、空っぽの達成感とかでしょ。

 

でもそれじゃ意味ないじゃん。

 

だからオープンエンドが好きで、最後の一節を読み終えたとき、さらさらと文字が消えてしまえるような小説がすき。言語化できない何かを綴るのが小説で、文字を追うその瞬間だけ真実と手をつなげる。掌にまだ残っているかけらを、一生かけてマスタピースにするという作業をやっている。

 

みんなみんな更地になったら、もう何も表現できないのかもしれないね。