飾らないワタシの地味日記

道端に捨てられた詩を拾います。(20)

2021-01-01から1年間の記事一覧

つよくなる

もう誰にも負けねぇ、という気持ちがいつもある。それは別に、相手を打ち負かして悔しがる顔を見たいとか、恨みを晴らしてやりたいとか、そういうことではなくて、もっと憧憬の念がこもった心持ち。憧れと言う言葉はどこか静止しているように思える。憧れて…

ねむい

人を愛したり、愛さなかったりして、僕はいくつもの季節をゴミ箱に放り投げた。ゴミ箱からは、くしゃくしゃに丸められた桜の呻き声が聞こえる。海水の腐った臭いがする。萎びれた皮カバンのような色になった雪が、溶けることもできずに春を待っている。僕は…

冷えていく

文字に対する圧倒的な信頼が世界に膜をかぶせているように思う。「文字」「圧倒的」「信頼」「世界」という単語を目にして、それぞれに抱くイメージを疑わぬままに受け入れてしまう。海に「うみ」という名前をつけて、愛おしい立ち振舞いを「かわいい」と形…

「美しい水死人」ガルシア=マルケス

風がうねりをあげているあいだは、男を追いかけてきた過去が遠くから運ばれてきて、女たちの与えた名前や彼に関する妄想に蝕まれないでいられる。しかし、風がやんでしまえば、男は過去から断絶され「エステバン」としてそこに横たわるしかない。「エステバ…

文字への過信 殺人事件

文字に対する圧倒的な信頼が、わたしを文学から遠ざけている気がする。 「文字に対する圧倒的な信頼が、わたしを文学から遠ざけている気がする。」 と書けば、それだけで全てが伝わると感違ってしまっている。伝えたいことだけを殴り書いても、伝えたいこと…

友人へ

あなたがハタチを迎えて、わたしは、誰よりも熱烈に優しくおめでとうと言いたい。本当はあなたの目の前で、小さな花束を渡しながら「誕生日おめでとう」と言ってあげたかった(スターチスなんかはぴったりだね、花言葉もとても素敵だから)。けれどもわたし…

「人間は素質だけで何かやれるわけじゃないから」

「人間は素質だけで何かやれるわけじゃないから」 いつか私にぴったり合う魂の片割れみたいな人が現れて、補うようにして友達になったり、恋人になったりするんだと思っていた。いや、今でも少しはそう祈っている。 でも私たちは、相性がいいという事実だけ…

眠たい

大学2年生は眠たい時間だった。立ち上がって歩き回っている時間よりも、微睡み、深い眠りに落ちていく時間の方がずっと長かった。起きていると自覚する時間はあまりにも短く、意識を放り投げて深く、とても深く眠った。夜はあまりにも甘美で、とろとろとした…

時代遅れとて

逃げ恥が好きだという話 わたし自身がすごくいいドラマだと思って見終わったから、SNSで批判している人の意見を、なんだか心が狭くて嫌だなあ、と避けてしまっていた。でも、「みくり平匡の子供が生まれて泣いてる沼田さんに「僕らには僕らの幸せがあります…

わかりやすく、と

言葉の情報を伝えるための道具としての機能ばかりが強調されすぎていると感じる。日々、誰かに何かを伝えるために言葉は紡がれているし、意味の見出しづらい言葉の並びに 対する人々の視線は冷たい。プレゼンでもレポートでも、Twitter でも、インスタのキャ…