飾らないワタシの地味日記

道端に捨てられた詩を拾います。(20)

文字への過信 殺人事件

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文字に対する圧倒的な信頼が、わたしを文学から遠ざけている気がする。

 

「文字に対する圧倒的な信頼が、わたしを文学から遠ざけている気がする。」

 

と書けば、それだけで全てが伝わると感違ってしまっている。伝えたいことだけを殴り書いても、伝えたいことは何ひとつ伝わりはしないのに。たった一行を伝えたくて300ページの小説を書き上げる彼女たちのようにならなくては。そうでなければ、それだけのことをしなければ、あなたに、何も伝えることなどできないのだ。いや、300ページ書こうが、950ページ書こうが、2000ページ書こうが、全てを伝え切ることはできないのだ。並行する感情、矛盾する温度、存在しない存在、枯れない草木、沈まない日没、そうしたものをどうして簡単に簡略に伝えられるなんて傲慢が許されるのか。いけない、こんなことではいけない。わたしの人生の発露としての思考が、わたしの思考の発露としての人生が、こんな文字なんかで象れないこと、それをもっと、もっと深く理解しなくてはいけない。